September 27, 1972
Record of Third Meeting between Foreign Minister Ohira and Foreign Minister Ji Pengfei
This document was made possible with support from MacArthur Foundation
極秘無期限
大平外務大臣・姫鵬飛外交部長会談(要録)
(1972年9月26日~27日)
-日中国交正常化交渉記録-
アジア局中国課
[…]
(於迎賓館)
(注: 本「会談要録」は、国交正常化当時の記録を改めて昭和53年5月タイプ印刷に付したものである)
[…]
第三回外相会談
(最終会談であり、最も重要なもの)
日時 9月27日午後10:10~28日午前00:30
場所 迎賓館
出席者
(日本側)大平外務大臣
橋本中国課長
通訳
(中国側)姫鵬飛外交部長
張香山外交部顧問
通訳
(大平大臣)本日の話し合いは夜の仕事になりました。
(姫外交部長)私は夜の仕事に慣れている方です。
(大平大臣)本日午前中の八達嶺、定陵の参観に際しては、姫外交部長に御案内頂いた。姫部長はお疲れのことと思う。
(姫外交部長)疲れてはいない。
(大平大臣)共同声明について、中国側で何かいい案が出たかうかがいたい。
(姫外交部長)本日午後の事務レベルでの話し合いにより、次の諸問題が問題として残つた。第一番目の問題は、日本側提出の共同声明案の前文で述べられている、日本側の態度の表明に関する問題である。即ち、日本側が与えた戦争損害に対する日本側の反省表明の問題である。
次は「復交三原則」についての問題である。
第三番目の問題は、共同声明案本文での戦争状態終結に関する問題である。
次は戦争賠償についての表現の問題である。
最後に平和友好条約の締結についての問題、ならびにその他の各種協定締結についての問題がある。
これらの諸問題は両国外相間の討議事項であり、事務レベルでは、詳しい、突つ込んだ話し合いは行わなかつた。
最後に、共同声明の表題については、総理により処理してもらうこととしたい。
(大平大臣)総理マターとして、本件を扱うことを意味するのか。
(姫外交部長)そのとおりである。中国側についていえば周恩来総理に処理を一任することになる。
そこで中国側の考え方を次に申し述べることとする。まず共同声明の表題について、本件表題は、共同声明の中国語テキストでは「中華人民共和国政府と日本国政府との共同声明」と修正し、反対に日本語のテキストの表現に置き換えれば「日本国政府と中華人民共和国政府との共同声明」と修正してはどうか。中国側がかかる表題を選んだ理由は、共同声明の内容自体が、単に国交正常化の一事を指しているのではなく、それ以上の幅広い問題を含んでいるからである。表題を国交正常化という字句で表現した場合、共同声明に含まれている全ての問題を包括することが出来なくなるからである。「中華人民共和国政府と日本国政府との共同声明」(或いは「日本国政府と中華人民共和国政府との共同声明」)とした場合、包括する範囲が広くなるからである。
(大平大臣)表題については、上記の中国側の提案も含めて田中総理とともに研究したいと考えている。
(姫外交部長)第二番目の問題は、共同声明の前文の中の、戦争により中国に与えた損害に対する日本側の態度表明の問題である。日本側案文によれば、共同声明の前文二段目において、「日本側は過去戦争によつてもたらされた苦しみと損害に対し深く反省の意を表明する」とされている。然し中国側は、右の表現中、「苦しみ」という表現を除去し、同部分を「日本側は、過去戦争によつてもたらされた重大な損害に対して深く反省する」との表現をとることを提案する。
(大平大臣)それでは、「日本国が戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたことに対して深い反省の意を表明した」との表現でよいのか。
(姫外交部長)「日本側は、過去において日本が戦争を通じて中国人民にもたらした重大な損害の責任を深く反省する」との表現を採つてはどうか。
(大平大臣)上記の中国側の案では、「反省の意を表明する」との字句が落ちているが、これについて中国側の意見をうかがいたい。
(姫外交部長)わざわざ「反省の意を表明する」との表現を用いることはない。「深く反省する」だけでも十分に意味がとおり、簡潔である。
(橋本課長)「責任を深く反省する」との表現は日本語として何かちぐはぐ{前4文字強調}な感じを与える。
(大平大臣)上記の表現の中で、「責任」という言葉は何を具体的に指しているのか。
(姫外交部長)損害を与えたことに対する責任を反省するということで、非常に明確な、はつきりしたものとなつている。
(大平大臣)次に「復交三原則」の問題について話を進めてもらいたい。
(姫外交部長)本問題については、次のような表現によつてはどうか、即ち、「日本側は日本政府が中華人民共和国政府の提起した「復交三原則」を十分理解する立場に立つて国交正常化の実現を計るという見解を確認する。中国側はこれを歓迎する」かかる表現に修正してはどうか。
(大平大臣)上記の文章を共同声明の日本語テキストに直すと、「・・・・・・を確認する。中国側はこれを歓迎するものである」と修正されるものと理解してよいかどうか。
(姫外交部長)そのとおり理解してよい。右はそもそも日本側の案文に沿い作成したものである。中国語としては余りすんなりとした中国語とはなつていない。
(大平大臣)中国側の意見を最初に全部うかがつた上で、一つ一つの問題につき改めて検討を進めてゆくこととしたいが、差し支えないか。
(姫外交部長)結構である。
(大平大臣)戦争状態終結の問題についての中国側の考えをうかがいたい。
(姫外交部長)この問題については、私は周恩来総理とともに長い時間をかけてあれこれ考えたが、その挙句考えついたのが次の方法である。つまり共同声明の前文の中に「戦争状態終結」の字句を入れる、即ち、声明前文の第一段に、右字句を入れるということである。即ち、同前文第一段で謳われている「両国人民はこれまで存在した不自然な状態・・・・・・」の次に戦争状態の終結、中日国交正常化及び両国人民の願望の実現という三つの字句を全て名詞形で挿入する。その結果同箇所は「両国人民はこれまで存在した不自然な状態、・・・・・・戦争状態の終結、中日国交正常化及び両国人民の願望の実現は中日両国関係史上に新たな一頁を開くであろう」という表現に修正される。
上述のごとき方法を採ることにより、戦争状態の終結は時間上の制限を受けなくなり、中日双方ともその問題についてそれぞれ異なつた解釈を行いうる余地を生ずることとなる。
(大平大臣)では声明本文の第1項は不要となるのか。あるいは(それは)第1項を引出すためのものか。
(姫外交部長)第1項が不必要となるのではない。前文において、名詞形により、「戦争状態の終結は・・・・・・」と入れ、本文第1項において、「本声明が公表される日に、中国と日本との間の極めて不正常な状態は終了する」との字句を入れることにより、戦争終結の時期について、中日双方がそれぞれ異なつた解釈を行ないうる余地が生じる。
また極めて不正常な状態が終結したということは、終結に伴い日中両国間の国交正常化が始まつたことを意味する。
(大平大臣)「極めて不正常な状態が終結する」ということは、かかる「不正常な状態」が終結した後も、幾分か不正常な状態が引続き残るということを意味するのか。
(姫外交部長)そういう意味ではない。「極めて不正常な状態が終結する」ということは、かかる不正常な状態が完全になくなるということを意味している。
(大平大臣)「極めて不正常な状態が終結する」ということは、これを日本語の語感で解釈すれば、極めて不正常な状態が終結した後の段階においても、その後も引続きある程度不正常な状態が残るという意味に受けとれる。従つて、「極めて不正常な状態」という表現を、「一切の」とかあるいは「全ての不正常な状態」という風に変えてはどうか。表現についての中国側の苦心の跡がうかがわれるが、この問題は後程検討することとして、その他の残つている問題について中国側の説明をうかがいたい。
(姫外交部長)中国語の「極不正常」(「極めて不正常」の意)という表現については、「極」という言葉は単に「不正常」を修飾するものとして使われているのである。従つて、中国語の語感から言えば、「極めて不正常な状態が終結した」ということは全ての不正常な状態が終熄したことを意味している。
(大平大臣)日本語の語感では、右の表現は、どうしても「今後とも何がしかの不正常な状態が残る」という意味になる。従つて「極めて」という字句を「これまでの」とか、あるいは上述の「一切の」あるいは「全ての」の{前1文字ママ}という表現に改めてはどうか。
(姫外交部長)只今の日本側提案について、今少し考慮・検討することとしたい。
(大平大臣)次は賠償請求の問題をとり上げるのか。
(姫外交部長)本問題について中国側で検討した表現方法は次のとおりである。即ち、「中華人民共和国政府は、中日両国人民の友好のために、日本国に対し、戦争賠償の請求を放棄することを宣言する」。かかる表現についての日本側の考えをうかがいたい。
(大平大臣)日本側は右表現に同意出来ると考える。
右は中国側の好意によるものであると考えている。
(しばらくして)
次に平和友好条約の問題についてうかがいたい。
(姫外交部長)本問題について中国側において検討した表現は次のとおりである。即ち、「中華人民共和国政府と日本国政府は、両国人民の平和と友好関係を発展させるため、交渉を通じて平和友好条約を締結することに合意した」とする。
(大平大臣)中国側の表現には随分と苦心の跡がうかがわれる。平和友好条約締結の問題は、日本では国会マターである。本条約の締結について中国政府側も非常に強い意向を持つており、日本政府側もこれに反対の意見を持つているわけではない。ただし、上述のごとく、本問題は国会マターであるので、共同声明の表現としては、日本政府が国会に対して大変出過ぎたことをした、との印象を与えないような表現が望ましい。
かかる観点より、同部分の表現は、「平和友好条約を結ぶことを目的とする交渉を開始した」という表現を採ることが望ましいと考えるが、これについての中国側の考えをうかがいたい。
(姫外交部長)「交渉を通じて平和友好条約を締結する」という表現と、「平和友好条約を結ぶことを目的とする交渉を開始する」という表現を比較した場合、その相違は奈辺にあるのか。
(大平大臣)上述のとおり、締結は国会の権限に所属するものである。共同声明の表現を「条約の締結を目的として交渉に入る」ということにすれば、日本政府が出過ぎたことをしたとの印象を与えないで済む。
(姫外交部長)平和友好条約を締結するということは国会の同意を必要とし、国会の責任になるのか。
(大平大臣)国会が条約締結権を持つている。喩えて言えば、日本政府と国会の関係は、料理人とお客の間柄のようなもので、条約について、日本政府側が調理して国会に食べてもらうという手続を踏むこととなる。政府側で草案を用意し、これを国会にかけ、批准を得ることになる。従つて、共同声明の表現についても、「交渉を通じて平和友好条約の締結・・・・・・」というダラダラ交渉するごとき印象を与える字句ではなく、締結を目的とする交渉に入るという風な印象を与える表現がとられることが望ましい。
(姫外交部長)交渉を通じ締結した条約は、国会の条約批准を必要とするのか。
(大平大臣)国会で批准されなければ、一片の反故と同じである。
(姫外交部長)では平和友好条約締結を目的とする交渉を行なう権利は政府側にあるのか。
(大平大臣)その通りである。国会には交渉権はない。平和友好条約を目的とする交渉は国会の批准を必要としない。
(姫外交部長)本問題についてはもう少し考慮、検討することとしたい。
第9項の各種協定の問題に進みたい。
(大平大臣)結構である。これについての中国側の意見をうかがいたい。
(姫外交部長)中国側で検討した表現は次の通りである。即ち、「中華人民共和国政府と日本政府は両国間の関係を一層発展させ、人的往来を拡大させるため、必要に基づき、また既存の民間の取決めを考慮しつつ、交渉を通じて、貿易、航海、航空、漁業等の協定をそれぞれ締結する」との表現によることが望まれる。
(大平大臣) 日本では、協定の中には、国会の承認を必要とするものと要しないものがある。この問題も前出の第8項目の平和友好条約と同様、国会マターの問題である。
(姫外交部長)では如何なる表現によればいいのか。
(大平大臣)中国側の表現を借りると次の通りとなる。「中華人民共和国と日本国政府は両国間の関係を一層発展させ、人的交流の拡大のため、既存の民間協定に応じ、通商航海、航空、漁業関係の協定の締結を目的とする交渉を行うことに合意した」。かかる表現についての中国側の意見をうかがいたい。
(姫外交部長)日本側のこの間の案では、「日本国政府と中華人民共和国政府は、両国の平和友好関係を強固にし発展させるため、外交ルートを通じて交渉を行うことによつて貿易、航海、航空、漁業等に必要な諸協定の締結を行う」とされている。
(大平大臣)締結と交渉という字句をそれぞれ入れ替えればよい。
(姫外交部長)外交ルートを通じて交渉を行うことによりこれらの諸協定の締結を行うことに合意した、との表現を採つてはどうか。
(大平大臣)かかる表現によつた場合、結局上記の中国側の草案通りとなる。日本側としては、締結することを目的として交渉を行うことに合意したという表現であれば、これを受け入れることが出来る。
(姫外交部長)かかる表現は一寸力が弱い。日本の法律では、締結後、国会の批准を受けられぬということもあるのか。
(大平大臣)その場合は反故と全く同じであり、何らの効力もない。
(姫外交部長)国会の批准がなければ反故と同じか。
(大平大臣)国会の批准を受ける前は、締結したものも反故と同じである。
しかしながら、本件については、日本国政府が責任をもつて推し進めれば、国会での批准を得られることは問題ない。現在の自民党政権が日本国内の少数政党により構成されたものであれば、国会での批准を得ることは困難であるが、現在の自民党は国会で300余議席を持つ強力政党であり、国会での批准は問題ない。
(姫外交部長)条約、協定についての交渉自体は国会の批准を必要としないのか。
(大平大臣)これは政府が持つ外交権に属するものであり、国会の批准を必要としない。
(姫外交部長)中国側の案通り、交渉を通じて、貿易、航海、航空、漁業等の協定をそれぞれ締結するとの表現を採つた場合、国会に対するいかなる侵犯となるのか。
(大平大臣)条約或いはある一部の協定の締結の権限は国会にある。従つて、中国側の案の通り、交渉を通じて諸条約の締結を行うとの表現を採つた場合、国会の持つ締詰権を侵犯したこととなる。
(姫外交部長)日本側の説明はよく理解出来た。日本側の案に同意する。
なお共同声明本文第4項の外交関係の樹立については、日本側の案通り、「中華人民共和国政府及び日本国政府は、1972年9月 日から外交関係を樹立することに決定した。両国政府は、国際法及び国際慣行に従い、それぞれの首都における他方の大使館の設置及びその任務遂行のために必要なすべての措置をとり、また、できるだけすみやかに大使を交換することを決定した」との表現を採ることに同意した。
(大平大臣)感謝する。
(姫外交部長)諸問題についての中国側の説明は以上の通りである。
(大平大臣)ではこれまで未解決の問題について検討したい。戦争責任に対する日本側の態度表明及び復交三原則の問題であるが、中国側の案によれば次の通りである。即ち、「日本側は過去において、日本が戦争を通じて中国人民にもたらした重大な損害の責任を深く反省する。また日本側は、日本政府が中華人民共和国政府の提起した「復交三原則」を十分理解する立場に立つて国交正常化の実現を計るという見解を確認する。中国側はこれを歓迎する。」
上記の中国側の案に見られる「責任」という言葉についてうかがいたい。この「責任」という言葉には具体的な、ある何らかの特別な意味が含まれているのではなく、単に、損害を与えたという事実に伴なう責任を十分に反省しているという意味に理解してよいのか。つまり、文字通り損害を与え、責任を感じ、深く反省するという意味であると理解して差支えないか。
(姫外交部長)その通りである。
(大平大臣)その部分を「重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、反省する」という表現に変えてはどうか。
また復交三原則に関する部分の表現で、中国側の案では、「日本側は、日本国政府が中華人民共和国政府の提起した・・・・・・・・・」とされているが、「日本国政府が」という字句を削除した方がすつきりする。ここで言う「日本側」とは日本国政府を意味するので、「日本側は日本国政府が・・・・・・・・・」という表現は重複した表現となり、余りすつきりしたものではない。
(姫外交部長)復交三原則の部分については、日本側が問題としているのは、その重複の部分だけであり、復交三原則に係る全体の内容については同意するのか。
(大平大臣)内容については同意する。従つて修正箇所としては、「痛感する」という言葉を入れ、復交三原則の部分では、「日本国政府が」という言葉を削除する。このニ箇所となる。このニ箇所を修正すれば日本側としては中国側の案に同意出来る。
(姫外交部長)しかしながら、中国語で考えると、先程の日本側の修正案では文章の主語がなくなつてしまう。
(大平大臣)ここでは「日本側」という言葉が文章の主語となる。もし「日本側は、日本国政府が・・・・・・・・・」という重複した表現をとることとなると、再確認の問題となる。
(姫外交部長)では同部分について、「日本側は、中華人民共和国政府が提起した・・・・・・・・・を計るという見解を再確認する」という表現に修正することとする。(中国語では「日本方面重申・・・・・・・・・」との表現に修正される)
(大平大臣)結構である。
(大平大臣)戦争状態終結の問題については、中国側で日本側の意向をお含み頂き感謝する。
ただ、この部分についての日本側の案を述べると、「戦争状態の終結、日中国交正常化という両国人民の願望の実現は両国関係史上に新たな一頁を開くこととなろう。」という表現を採ることとしたい。中国側の案では「戦争状態の終結、日中国交正常化及び両国人民の願望は・・・・・・」と三つの言葉が並列されているが、前の「終結」、「国交正常化」という二つの言葉は両国人民にかかる言葉である。従つてこの三つを並列的に置くのは重複することとなる。また後方で述べている「中日両国関係の歴史に新たな頁を・・・・・・」の部分のうち「中日両国関係・・・・・・」とあるのは、同一のセンテンスで言葉が重複することになるから、「両国関係の歴史に・・・・・・」と簡潔な表現に変えては如何。
(姫外交部長)日本側の提案を中国語に訳して表現すれば、「戦争状態の終結、中日国交正常化という上述の両国人民の願望の実現は・・・・・・」となる。この表現ではどうか。
(大平大臣)受け入れることが出来る。
共同声明本文第1項について、中国側の案による「極めて不正常な状態・・・・・・」という表現の中の「極めて」という言葉を何とかしてもらえないであろうか。その部分を「これまでの」という言葉に置き替えてはどうか。
(姫外交部長)同意する。
日本側の修正をとり入れ、確認のため本文第1項をもう一度読み上げると、「中華人民共和国と日本国政府との間のこれまでの不正常な状態は、この共同声明が発出される日に終了する」となる。このような表現ではどうか。
(大平大臣)同意する。
(姫外交部長)次の問題に移ることとしたい。
(大平大臣)賠償請求については中国側の案を受け入れることが出来る。従つて、賠償の部分については、「中華人民共和国政府は、中日両国人民の友好のために日本国に対し戦争賠償の請求を放棄することを宣言する」との表現を採ると理解してよいか。
(姫外交部長)その通りである。
(大平大臣)これに同意する。
本文第8、第9項の問題をとり上げることとしたい。
(姫外交部長)同部分については、「中華人民共和国政府及び日本国政府は、・・・・・・・・・平和友好条約締結についての交渉に入ることに合意する」との表現を採つては如何。
(大平大臣)かかる表現は適確ではない。日本語の感覚から言うと、かかる表現では、締結するのかしないのか不明確な印象を与える。従つて「平和友好条約の締結を目的として交渉を行なうことに合意した」との表現を採ると意味が明確となる。
(姫外交部長)日本側の趣旨はよく解つた。同意する。
(姫外交部長)右の部分を「平和友好条約の締結を行なうことを目的とする交渉を行なうことに合意した」と変えることとする。ただし、同部分についての中国語文の表現について、中国側でもう少し工夫したい。
(大平大臣)有難う。種々迷惑をかけて申し訳なかつた。
(姫外交部長)迷惑とは思つていない。これは日中両国による共同作業である。
共同声明全体としては、これで一応まとまつたこととなる。
(大平大臣)共同声明の表題については、先程、中国側より、「日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明」という提案が出されたが、これについて田中首相に報告のうえ、明朝9時までには田中首相の回答を中国側に伝えることとしたい。
(姫外交部長)今晩これから起草委員会で修文を作成し、終了後、周総理に報告するとともに、同修文についての周総理の意見を聞くこととしたい。
(大平大臣)日本側も同様、修文についての田中首相の意見を聞くこととなる。
(姫外交部長)修文について周総理の方からも何らかの意見が出るやも知れないが、その節はよろしく願いたい。
ここで確認のために共同声明の構成について読み上げると次の通りとなる。
まず最初は、「日本国内閣総理大臣田中角栄は、中華人民共和国国務院総理周恩来の招きにより、1972年9月25日から9月30日まで、中華人民共和国を訪問した」という言葉が来る。
第二段においては、毛主席と田中首相の会見を書き入れる。
その次には、会談を行なつた参加者の名前を記入し、終始、友好、卒直な話し合いを行なつた旨記述する。
その次から前文が始まる。前文は三つの文章により構成される。
まず第一は、「日中両国は、・・・・・・・・・両国関係の歴史に新たな一頁を開くこととなろう」という部分である。
第二の部分は、「日本側は、過去において・・・・・・・・・中国側は、これを歓迎するものである」という部分である。
第三は、「日中両国間には・・・・・・・・・アジアにおける緊張緩和と世界の平和に貢献するものである」という部分である。
その次から本文に入る。
第1項は、不正常な状態の経緯を謳つた部分。
第2項は、中華人民共和国政府を唯一の合法政府と認める旨謳つた部分。
第3項は、台湾問題に関連する部分。
第4項は、国交樹立に関連する部分。
第5項は、戦争賠償請求の放棄に関する部分。
第6項は、主権及び領土保全の相互尊重等について謳つた部分。
第7項は、日中国交正常化は第三国を対象とするものでない旨謳つた部分。
第8項は、平和友好条約締結に関連した部分。
第9項は、貿易、海運、航空等の諸協定締結に関連する部分。
共同声明の構成は上述の通りで差支えないか。
また署名者は日中両国総理及び外務大臣(中国側は外交部長)となる。
(大平大臣)これに同意する。
[…]
Meeting Foreign Minister Ohira [Masayoshi] – Foreign Minister Ji Pengfei (Records)
(1972 September 26th ~ 27th)
- Japan-China Diplomatic Normalization Negotiations Record -
Asia Bureau, China Section
[…]
(Note: The following record was typed in May 1978 from the original normalization negotiation records)
[…]
Third Meeting
(The last and most important Meeting)
September 27th 10:10 ~ September 28 00:30
Reception Hall
In attendance
Japan
Foreign Minister Ohira
China Section Chief Hashimoto [Hiroshi]
Translator
China
Foreign Minister Ji Pengfei
Adviser to Foreign Ministry Zhang Xiangshan
(FM Ohira) It seems that we will be working at night today.
(FM Ji) I am quite used to working at night.
(FM Ohira) Foreign Minister Ji kindly guided me during our visit to the Badaling [section of the Great Wall] and the [Ming] Tombs. I imagine that he must be tired.
(FM Ji) I am not tired.
(FM Ohira) I want to ask if the Chinese delegation has come up with a good proposal for the joint declaration.
(FM Ji) The following various issues remain after this afternoon’s working-level meeting. The first issue is the way in which Japan expresses its attitude in the preamble to the joint declaration. That is, the issue regarding the manner in which Japan expresses its repentance over the damages it caused during the war.
The second is the issue regarding the Three Principles for the Restoration of Relations.
The third issue is the issue regarding the end of the state of war as it appears in the main text of the joint declaration.
The fourth issue is with regard to the manner in which wartime damages is expressed.
Finally, the issue of concluding a treaty of peace and friendship, and other various agreements.
The above are issues for foreign ministers to discuss, and so the working-level meeting did not delve into these topics.
We would also like for our Prime Ministers to finalize the wording of the joint declaration.
(FM Ohira) Do you mean that this issue is a matter for the Prime Ministers?
(FM Ji) Exactly. The Chinese delegation will entrust Premier Zhou Enlai with the processing of this issue.
We will now explain the Chinese delegation’s thoughts. First, would it suffice for the Chinese title of the joint declaration to read, “Joint Declaration between the Government of the People’s Republic of China and the Government of Japan,” while the Japanese text will read, “Joint Declaration between the Government Japan and the Government of the People’s Republic of China”? We chose this title because the content of the joint declaration is not limited to the normalization of diplomatic relations, but it also includes wider issues. If we titled it with the inclusion of “diplomatic normalization,” it would not fully encompass the various issues covered in the joint declaration. By using the wording “Joint Declaration between the Government of the People’s Republic of China and the Government of Japan (and “Joint Declaration between the Government Japan and the Government of the People’s Republic of China”), we can encompass a wider range.
(FM Ohira) Regarding the title, we would like to reconsider the Chinese proposal with Prime Minister Ohira.
(FM Ji) The second issue is the expression used in the joint declaration by Japan concerning its attitude regarding the damages that Japan caused China during the war. In the second line of the main text of the joint declaration is the wording, “Japan expresses its feeling of deep repentance over the anguish and damages that it caused during the previous war.” However, China proposes the removal of the word “anguish” and instead proposes the wording, “Japan is deeply repentant over the great damages that it caused during the previous war.”
(FM Ohira) Then would the following wording be acceptable? “Japan expresses its feeling of deep repentance over the great damages that it caused the people of China through war.”
(FM Ji) Would it be acceptable to choose the following? “Japan is deeply repentant over its responsibility for the great damages that it caused the Chinese people in the past through war.”
(FM Ohira) The above Chinese proposal drops the “expressing the feeling of repentance.” We would like to hear the reasoning behind this.
(FM Ji) There is no need to go out of the way to express “the expression of feeling of repentance.” It is sufficient to simply say, “to be deeply repentant.” It is more brief.
(Section Chief Hashimoto) In the Japanese language the expression, “to be deeply repentant over our responsibility” feels mismatched (emphasis on mismatched).
(FM Ohira) In the above, what does the word “responsibility” signify?
(FM Ji) It means to be repentant for being responsible for damages. It is exceedingly clear and straightforward.
(FM Ohira) I would like to proceed to the issue regarding the “Three Principles for Diplomatic Normalization.”
(FM Ji) Regarding this issue, would you agree to the following wording: “Japan affirms that the Japanese Government is pursuing the implementation of diplomatic normalization from the standpoint of fully recognizing the “Three Principles of Diplomatic Normalization” that the Government of the People’s Republic of China has submitted. China greatly welcomes this.”
(FM Ohira) Is it correct to interpret this in Japanese as, “…recognizes ------. China will welcome this”?
(FM Ji) That interpretation is correct. The right side was drafted in the first place using the Japanese proposal. The Chinese language version is not very streamlined.
(FM Ohira) We would like to hear the Chinese delegation’s opinion in entirety. Then we would like to consider each issue one-by-one. Do you object?
(FM Ji) That is fine.
(FM Ohira) I would like to hear China’s thinking regarding the end of the state of war.
(FM Ji) Premier Zhou Enlai and I have spoken about this issue at length, and the following is the solution that we have come up with. That plan is to include the phrase, “the end to the state of war,” in the preamble of the joint declaration. Specifically, we will include that wording in the first column of the preamble. The proposal is to include the three following phrases in the noun form: “the unnatural state that existed between our peoples…,” after the “end of the state of war,” and the realization of both our peoples’ hope for the normalization of diplomatic relations between China and Japan. Therefore that passage would read, “The unnatural state that existed between our people…the end to the state of war, and bring to fruition the diplomatic normalization between China and Japan and a new chapter in the history of the relations between the two countries of China-Japan that our respective citizens yearn for.”
This wording would make it so that the end of the state of war will not be restricted by timing, and therefore this would leave no space for differing interpretations between China and Japan.
(FM Ohira) Does this make first clause of the declaration unnecessary? Or is it meant to withdrawal the first clause?
(FM Ji) This will not make the first clause unnecessary. By including the noun form of the phrase, “the end of the state of war…,” in the preamble, and by including the phrase, “on the day that this declaration is announced, the state of an extremely anomalous relationship between China and Japan is concluded,” China and Japan will have no reason to disagree over the timing of the end of the state of war.
The conclusion of an extremely anomalous relationship means that, with the end of the war, the diplomatic relationship between Japan and China is normalized.
(FM Ohira) Does “the conclusion of an extremely anomalous relationship” mean to say that there may still be some remnants of an anomalous state even after the anomalous state is ended?
(FM Ji) That is not what is meant. “The conclusion of an extremely anomalous state” is to mean that the anomalous state will end completely.
(FM Ohira)When translated into Japanese, the phrase, “the conclusion of an extremely anomalous state,” would be interpreted to mean that even after the extremely anomalous state is concluded, there still remains some degree of an anomalous state. Therefore, we propose changing the wording of the phrase, “extremely anomalous state” to “all anomalous states” or “the entire anomalous state.” I understand that the wording of this draft reflects the diligence of the Chinese delegation, however, we would like to reconsider the topic at hand at another time, and instead continue to hear your thoughts on the remaining issues.
(FM Ji) In the Chinese phrase, “ji bu zhengchang” (meaning extremely anomalous) the “extremely” is used as an embellishment to “anomalous.” Therefore, in Chinese the phrase, “the conclusion of an extremely anomalous state,” means that the entirety of the anomalous state ceases to exist.
(FM Ohira) In the Japanese, it cannot be helped that the phrase on the right would be interpreted to mean that in the future there will be some remnants of the anomalous state. Therefore, how about if we used the word “until now,” “all,” or “entirety” instead of “extremely.”
(FM Ji) I would like to have some more time to reconsider the Japanese delegation’s proposal.
(FM Ohira) Will you be raising the war reparations issue next?
(FM Ji) The Chinese delegation’s proposal for the wording of this issue is the following: “For the sake of friendly relations between the peoples of China and Japan, the Government of the People’s Republic of China renounces its claims for war reparations.” What is Japan’s thoughts on this phrasing?
(FM Ohira) The Japanese delegation believes that it can agree with this wording.
We believe the phrasing is a reflection of China’s courtesy.
(Some time later)
Next, we would like to discuss the issue of the peace and friendship treaty.
(FM Ji) The Chinese delegations’ thoughts in consideration of this issue is the following: “In order to develop the peaceful and friendly relations between our peoples, the Government of the People’s Republic of China and the Government Japan have agreed to negotiate the conclusion of a treaty of peace and friendship.”
(FM Ohira) The Chinese delegation’s expression reflects your great effort. In Japan, the issue regarding the conclusion of the peace and friendship treaty is a matter for the Diet. The Chinese Government has the great intention to conclude this treaty, and the Japanese Government is not opposed to this. However, because this is a matter for the Diet, including this in the joint declaration would make the Japanese Government vulnerable to the opinion that we rushed the issue past the Diet.
Therefore, regarding this issue, we believe it is better to include the phrase, “have started the negotiations with the aim of concluding a peace and friendship treaty.” What does the Chinese delegation think about this?
(FM Ji) Where is the difference in switching the phrases, “negotiate the conclusion of a peace and friendship treaty” and “have started the negotiations with the aim of concluding a peace and friendship treaty”?
(FM Ohira) As we have previously mentioned, the conclusion of treaties is a right of the Diet. By using the phrase, “will enter into negotiations with the aim of concluding a treaty,” allows us to avoid the criticism that we stepped over the prerogative of the Diet.
(FM Ji) Is that to mean that the conclusion of a Treaty of Peace and Friendship requires the Diet, and that it is the responsibility of the Diet?
(FM Ohira) The Diet holds the right to the conclusion for treaties. To use an analogy, the relationship between the Japanese Government and the Diet is like one between a cook and a customer. With regard to treaties, the Government of Japan prepares the dish for the Diet to eat. The Government submits a draft proposal that it prepared to the Diet, and awaits ratification. Therefore, the phrase, “will negotiate the conclusion of a peace and friendship treaty…” is not meant to convey the sense that the negotiations will drag on indefinitely, but that we will enter into negotiations with the aim of concluding the treaty.
(FM Ji) Will a treaty that was concluded through negotiations still require the ratification of the Diet?
(FM Ohira) Without ratification of the Diet, it is the same as a scrap of paper.
(FM Ji) Then does the Government have the right to conduct negotiations for the conclusion of a treaty of peace and friendship?
(FM Ohira) It does. The Diet does not have the power of negotiation. The conduct of negotiations with the aim of concluding a treaty of peace and friendship does not require the ratification of the Diet.
(FM Ji) We will take some more time to consider this point.
I would like to proceed to issue regarding the various agreements in Clause 9.
(FM Ohira) That is fine. I would like to hear the Chinese delegation’s thoughts regarding this issue.
(FM Ji) The Chinese delegation finds the following wording the most favorable: “In order to further develop the relations between the Government of the People’s Republic of China and the Government Japan, to expand the scope of travel between our countries, and based on need and in full consideration of existing civil agreements, we will conclude agreements on trade, shipping, air traffic, and fishing.”
(FM Ohira) In Japan there are agreements that require and do not require ratification by the Diet. Like the previous issue from Clause 8, this is an issue regarding the Diet.
(FM Ji) Then what sort of wording would suffice?
(FM Ohira) We borrow the phrasing of the Chinese delegation for the following proposal: “In order to further develop the relations between the Government of the People’s Republic of China and the Government Japan, to expand the scope of travel between our countries, and in full consideration of existing civil agreements, we agree to conduct negotiations with the aim of concluding agreements on trade, shipping, air traffic, and fishing.”
(FM Ji) The Japanese delegation’s proposal for this topic reads, “In order to firmly develop the peaceful and friendly relations between our countries, the Government of Japan and the Government of the People’s Republic of China will conclude the agreements necessary for trade, shipping, air traffic, and fishing by conducting negotiations through diplomatic channels.
(FM Ohira) It would suffice to switch “conclude” with “negotiate.”
(FM Ji) What if we picked the phrasing, “agreed to conclude the various agreements by conducting negotiations through diplomatic channels.”
(FM Ohira) If we used your suggestion, it would be the same as the original Chinese delegation proposal. The Japanese delegation can accept the proposal if it says that we agreed to conduct negotiations with the aim of conclusion.
(FM Ji) This wording is a little weak. Are there Japanese laws where, after the conclusion of a treaty, it is not necessary to receive Diet ratification?
(FM Ohira) It is the same as wastepaper in that case. It has no power at all.
(FM Ji) So without Diet ratification, it is the same as scrap.
(FM Ohira) Without Diet ratification, even ones that are concluded are the same as scrap.
However, in this case, if the Government of Japan took responsibility in progressing through the process, getting Diet ratification should be no problem. If the political power of the Liberal Democratic Party were derived from smaller political parties, then it would be difficult to gain the ratification of the Diet. However, as the Liberal Democratic Party is a major political party currently holding 300 seats, there should be no problem in gaining the ratification of the Diet.
(FM Ji) So the negotiation for treaties and agreements itself does not require the ratification of the Diet.
(FM Ohira) As this is a right that the Government holds, the ratification of the Diet is not necessary.
(FM Ji) What sort of violation against the Diet would occur if we were to pick the wording prepared by the Chinese delegation and expressed that agreements on trade, shipping, air traffic, and fishing will be concluded.
(FM Ohira) The Diet has the right to conclude treaties and some forms agreements. Therefore, if we were to choose the Chinese delegation’s wording that expresses that we will negotiate and conclude the various treaties, this would violate the Diet’s right to conclude treaties.
(FM Ji) I fully understand your explanation. We will agree to the Japanese delegation’s proposal.
Regarding Clause 4 of the main text of the joint declaration we agree to the Japanese delegation’s wording: “The Government of the People’s Republic of China and the Government Japan have decided to establish diplomatic relations from September (date) 1972. In line with international law and international custom, both Governments of the respective countries will establish in each other’s capitals the embassies and other establishments necessary to carry out their functions. In addition, they agree to exchange ambassadors as quickly as possible.
(FM Ohira) We thank you.
(FM Ji) This concludes the Chinese delegation’s explanations regarding the various issues.
(FM Ohira) Then we would like to consider the issues that are as of yet not resolved. These are the attitude expressed by the Japanese delegation regarding the responsibility of war and the Three Principles of Diplomatic Normalization. The Chinese delegation’s proposal was as follows: “Regarding its past, Japan is deeply repentant over its responsibility for the great damage that it caused to the Chinese people during the war. The Japanese Government affirms the view of realizing the normalization from diplomatic relations from the standpoint of fully recognizing the “The Three Principles of Diplomatic Normalization” that was proposed by the Government of the People’s Republic of China. China will welcome this”
We want to inquire about the word, “responsibility.” Rather than having any other specific meaning, is this “responsibility” in the sense of sufficiently being repentant over the responsibility for the reality of having caused damaged? Is it correct to understand this to mean, as is literally written, that responsibility is felt and that there is a deep sense of repentance?
(FM Ji) That is correct.
(FM Ohira) Would it be possible to change the wording to, “to repent and feel responsible for causing great damage”?
In the part with regard to the Three Principles of Diplomatic Normalization, the Chinese delegation proposed the wording: “The Japanese raised the … issue that the Japanese Government … Government of the People’s Republic of China.” It may suffice to drop the phrase “the Japanese Government.” Because, here the “Japanese” is to mean the “Japanese Government,” therefore it may be redundant to duplicate these similar phrases.
(FM Ji) With regard to the Three Principles of Diplomatic Normalization, is it the case that Japan only objects to the redundant wording and will agree to the entire content of the Three Principles of Diplomatic Normalization?
(FM Ohira) We are in agreement regarding the content. In terms of areas for amendment, we purpose adding the word “feeling” and dropping the phrase “the Government of Japan.” It is only these two sections. If we are able to make these two changes, we will be able to agree to the Chinese draft proposal.
(FM Ji) However, from the Chinese standpoint, if we were to drop the words as suggested by Japan, the sentence would lose its subject.
(FM Ohira) In this case the word “Japan” would become the subject of the sentence. If we were to keep the phrase “the Japanese raised the … issue that the Japanese Government …,” it would be an issue of redundancy.
(FM Ji) With regard to this part, we will change the wording to: “Japan will reaffirm the view to… proposed by the Government of the People’s Republic of China.”
(FM Ohira) That is fine.
(FM Ohira) We would like to thank China for including Japan’s idea with regard to the issue of the end of the state of war.
However, the Japanese delegation prefers the wording: “…end of the state of war to open a new chapter in the history of the relations between the two countries of China-Japan that our respective citizens yearn for.” The Chinese proposal orders the three words in the following way: “end of the state of war… for Japan-China diplomatic normalization and the yearning of the peoples of our both nations.” However, the words “end” and “diplomatic normalization” are both things that the peoples of both of our nations want. Therefore, ordering the three words in parallel is redundant. Likewise, the inclusion of “relations between the two countries of China and Japan” in the section about the “to open a new chapter in the relations between the two countries of China and Japan” is redundant. We propose simplifying the phrase to “a new chapter in the history of both of our countries.”
(FM Ji) Translating the Japanese proposal into Chinese would render the following: “…end of the state of war, to realize the yearnings of both our peoples regarding the above-mentioned normalization of diplomatic relations between China and Japan.”
(FM Ohira) We can accept that.
In Clause 1 of the joint declaration, is there any way to remove the word, “extremely,” that is included in the Chinese proposal, “extremely anomalous state…”? Would it be possible to switch the word with “until now”?
(FM Ji) Agreed.
To confirm, I will reread the passage taking into consideration the Japanese proposal: “on the day that this declaration is announced, the until now anomalous state of the relationship between China and Japan is concluded.” How is this expression?
(FM Ohira) Agreed.
(FM Ji) I would like to move onto the next issue.
(FM Ohira) We can agree to the proposal made by the Chinese delegation regarding the claim for war reparations. So, with regard to the point about reparations, is it correct to understand it in the following way: “the Government of the People’s Republic of China declares its renunciation of its claim to war reparations from Japan for the sake of friendship between the peoples of China and Japan.”
(FM Ji) That is correct.
(FM Ohira) We agree to this.
I would like to address Clauses 8 and 9 of the main text.
(FM Ji) Regarding these parts, would the following be acceptable: “the Government of the People’s Republic of China and the Government of Japan… agreed to enter negotiations regarding the conclusion of a peace and friendship treaty.”
(FM Ohira) The wording is precise. From the sensibility of the Japanese language, this expression gives off the uncertainty of whether the treaty will be concluded or not. Therefore, we find the following phrasing more clear: “agreed to conduct negotiation with the aim of concluding a treaty of peace and friendship.”
(FM Ji) We fully understand the Japanese delegation’s intent. Agreed.
(FM Ji) We will change the portion to “agreed to conduct negotiation with the aim of concluding a treaty of peace and friendship.” However, we would like to consider the Chinese language rendering of the portion a little more.
(FM Ohira) Thank you. We apologize for causing numerous problems.
(FM Ji) I do not find it problematic. This is a joint task of both Japan and China.
This concludes the overall body of the joint declaration.
(FM Ohira) Earlier, we received the Chinese proposal for the title of the joint declaration: “Joint Declaration between the Government of Japan and the Government of the People’s Republic of China.” We have reported that to Prime Minister Tanaka, and we are waiting for his response to the Chinese delegation by 9:00 a.m. tomorrow.
(FM Ji) The drafting committee will prepare the text tonight. After completion we will report to Premier Zhou and receive his comments regarding the text.
(FM Ohira) The Japanese delegation will also seek Prime Minister Ohira’s comments on the text.
(FM Ji) We may receive some comments from Premier Zhou regarding the text, in which case we ask for your understanding.
In order to confirm, I would like to read through the organization of the joint declaration.
The document will start with the statement, “The Prime Minister of the Government of Japan, Tanaka Kakuei, by the invitation of the Premier of the State Council of the People’s Republic of China, Zhou Enlai, visited China between September 25th and 30th of 1972.”
The second line will have the meeting between Chairman Mao [Zedong] and Prime Minister Tanaka.
The next section will include the names of the participants of the conversation, which will be described as friendly and frank discussion from beginning to end.
The preamble will start from the next line. The main text is made up of three sentences.
First, is the section on the how “Japan and China will… open a new chapter in the history of the relations between the two countries.”
Second, is the section: “Regarding its past, Japan… China greatly welcomes this.”
Third, is the section: “Both Japan and China… contribute to the easing of tensions in Asia and to world peace.”
The main text starts from there.
- Clause 1 is the section on the details of the anomalous state.
- Clause 2 is the section providing details on the recognition of the Government of the People’s Republic of China as the sole and lawful government.
- Clause 3 is with regard to the Taiwan issue.
- Clause 4 is with regard to the establishment of diplomatic relations.
- Clause 5 is with regard to the renunciation of claims for war damage reparations.
- Clause 6 is the section that stipulates the mutual respect for sovereignty and territorial integrity.
- Clause 7 is the section that stipulates that diplomatic normalization between Japan and China does not target a third state.
- Clause 8 is with regard to the conclusion of the treaty of peace and friendship.
- Clause 9 is with regard to the conclusion of agreements such as trade, shipping, and air traffic.
Are there any objections to the content of the joint declaration as it is?
Additionally, signatories are the premiers and foreign ministers of both Japan and China.
(FM Ohira) Agreed.
[…]
Ji Pengfei, the Chinese Foreign Minister, explained the Chinese delegation's thoughts regarding the title and expression used in the joint declaration.
Author(s):
Associated People & Organizations
Associated Topics
Subjects Discussed
Document Information
Source
Original Archive
Rights
The History and Public Policy Program welcomes reuse of Digital Archive materials for research and educational purposes. Some documents may be subject to copyright, which is retained by the rights holders in accordance with US and international copyright laws. When possible, rights holders have been contacted for permission to reproduce their materials.
To enquire about this document's rights status or request permission for commercial use, please contact the History and Public Policy Program at HAPP@wilsoncenter.org.